処遇改善加算の取得にはどのような要件が必要ですか?

福祉・介護職員処遇改善加算とは?

離職率が高い障害福祉サービス事業に従事する職員(福祉・介護職員)の処遇(待遇)改善を目的とした加算です。
以下の要件を確認の上、処遇改善計画書を指定権者に提出すると、以下のサービス毎の加算率の算定が可能です。
加算率は基本報酬に加え、処遇改善加算以外の全加算の合計単位数に対して乗じます。
また、事業者が交付を受けた処遇改善に関する加算金は、全額+1円以上を職員に分配しなければなりません。
ただし、全職員に公平に分配しなければならないというものではなく、就業規則等で定めれば、例えば常勤の職員のみに分配するという定めをすることも可能です。

取得要件

①月額賃金改善要件
②キャリアパス要件
③職場環境等要件
※ ①は必須で、②から③の要件の充足状況次第により処遇改善加算Ⅰ~Ⅳに分類される。

①賃金改善要件

月額賃金改善要件Ⅰ(令和7年度から適用)Ⅰ~Ⅳ

処遇改善加算Ⅳ相当の加算額の2分の1以上を、基本給または決まって毎月支払われる手当の改善に充てること。
→ 職員に対する賃金改善を賞与や一時金でまとめて支給ではなく、一定額以上は「毎月」支給すること。

月額賃金改善要件Ⅱ(現行ベースアップ加算未算定の場合のみ適用)Ⅰ~Ⅳ

 前年度と比較して、現行のベースアップ等加算相当の加算額の3分の2以上の新たな基本給等の改善(月給の引き上げ)を行う。

②キャリアパス要件

月額賃金改善要件Ⅰ 月額賃金改善要件Ⅱ キャリアパス要件Ⅰ キャリアパス要件Ⅱ キャリアパス要件Ⅲ キャリアパス要件Ⅳ キャリアパス要件Ⅴ 職場環境等要件
新加算Ⅳの1/2以上の月額賃金の改善 旧ベア加算相当の2/3以上の新規の月額賃金改善 任用要件・賃金体系の整備等 研修の実施等 昇給の仕組みの整備等 改善後の賃金要件(年収440万円の職員1人以上) 介護福祉士等の配置 区分ごとに1以上の取組(生産性向上は2以上) 区分ごとに2以上の取組(生産性向上は3以上) HP掲載等を通じた見える化
福祉・介護職員等処遇改善加算Ⅰ (〇)
福祉・介護職員等処遇改善加算Ⅱ (〇)
福祉・介護職員等処遇改善加算Ⅲ (〇)
福祉・介護職員等処遇改善加算Ⅳ (〇)
キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系)Ⅰ~Ⅳ

イ 福祉・介護職員の職位、職責または職務内容等に応じた任用要件を定めている。
ロ イに掲げる職位、職責または職務内容に応じた賃金体系を定めている。
ハ イ、ロについて、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての福祉・介護職員に周知している。

キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施)Ⅰ~Ⅳ

イ 福祉・介護職員の職務内容等を踏まえ、福祉・介護職員と意見交換しながら、資質向上の目標及び①・②のうち少なくともいずれかに関する具体的な計画を策定し、研修の実施または研修の機会を確保している。
① 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供または技術指導を実施するとともに、福祉・介護職員の能力評価を行う。
(例) 
・個別の希望に基づく研修計画を作成し、年2回以上〇〇研修をオンラインで受講させる。
・月2回ランチミーティングを行い、業務の中で気づきの共有やお互いのフィードバックを行う。
② 資格取得のための支援の実施
(例)
・実務経験が3年以上の介護職員に対し、実務者研修の受講費用として、〇〇万円を支給
・介護福祉士試験対策として、法人内で資格所得のための研修会を実施
・勤務シフトの調整、休暇の付与、費用の援助等
ロ イについて、すべての福祉・介護職員に周知している。

キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組み)Ⅰ~Ⅲ

福祉・介護職員について、以下のいずれかの昇給する仕組みを設けている。
①経験(勤続年数、経験年数等)に応じて昇給する仕組み
②資格等(介護福祉士、事務者研修修了者等)に応じて昇給する仕組み
③ 一定の基準(実技試験、人事評価等)に基づき定期に昇給を判定する仕組み

キャリアパス要件Ⅳ(改善後の賃金額)Ⅰ・Ⅱ

経験・技能ある障害福祉人材のうち1人以上は、賃金改善後の賃金額が年額440万円以上であること(原則、1事業所に1人以上必要)。
ただし、小規模事業所で加算額等が少額であるといった事情等がある場合は適用が免除される。

キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置)Ⅰ

福祉・専門職員配置等加算や特定事業所加算(訪問系)を算定している事業所であること。

③職場環境等要件

○6の区分ごとにそれぞれ2つ以上(生産性向上は3つ以上、うち一部は必須)取り組む。
 情報公表システム等で実施した取組の内容について具体的に公表する。(令和6年度中は6つの区分から3つを選択し、それぞれ1つ以上取り組むことが必要) Ⅰ・Ⅱ
○6の区分ごとにそれぞれ1つ以上(生産性向上は2つ以上)取り組む
(令和6年度中は全体で1以上の取組が必要)

手続き

毎年4月にその年度(4月~翌年3月)の処遇改善計画書(書式あり)を指定権者に提出
翌年7月に交付金額と職員への分配額を集計したものを実績報告書(書式あり)として指定権者に提出
通常は、前月15日までに計画書を提出
4月のみ4月15日までの提出で4月1日から算定可能。

分配方法

処遇改善加算を原資とした職員への支給方法

1 支給対象者

〇パターン例
①全職員(福祉・介護職員、児童発達支援管理責任者)
②常勤の全職員(福祉・介護職員、児童発達支援管理責任者)
③常勤の福祉・介護職員(保育士、児童指導員、指導員)
④常勤職員のうち勤続年数○年以上の者
⑤常勤の福祉・介護職員のうち勤続年数○年以上の者

2 支給方法(支給対象者、支給時期、支給額)

〇パターン例
※毎月支給が奨励されているので③や④のみというのは不可。
① 基本給 
  常勤 月額〇〇円~○○円の引き上げ 
  非常勤 時給額〇〇円~〇〇円の引き上げ
② 手当 
  常勤 月額〇〇円~○○円の支給
  非常勤 月額〇〇円~○○円の支給
③ 賞与(予め支給時期、支給額が決めてあるもの)
  常勤  毎年○月 〇〇円~○○円の支給
  非常勤 毎年○月 〇〇円~○○円の支給
④ 一時金(支給時期、支給額があらかじめ定めていない臨時のもの)
  ※金額の記載不要

3 職員への支給基準

各職員への支給の有無、支給額は、年齢、資格、経験、技能、勤務成績等考慮して各人ごとに決定する。
職員への支給総額は、厚生労働省が定める加算の算定額を上回る額とする。
新加算Ⅳにかかる加算額の2分の1以上を毎月の賃金改善に充てること。

4 サービス提供月と賃金改善実施期間

賃金改善実施期間は必ずしもサービス提供月と揃える必要はない。
たとえば、サービス提供月の3か月遅れで賃金の支払に行うことも可能。
〇サービス提供月 4月~翌年3月
〇賃金改善実施期間 
以下のパターンあり
① 4月~翌年3月
② 5月~翌年4月
③ 6月~翌年5月
④ 7月~翌年6月
ただし、上記月は○月分給与ではなく○月支給の給与

加算率(令和6年6月~)

居宅介護 41.7% 40.2% 34.7% 27.3%
重度訪問介護 34.3% 32.8% 27.3% 21.9%
同行援護 41.7% 40.2% 34.7% 27.3%
行動援護 38.2% 36.7% 31.2% 24.8%
生活介護 8.1% 8.0% 6.7% 5.5%
就労継続支援B型 9.3% 9.1% 7.6% 6.2%
共同生活援助(介護包括型) 14.7% 14.4% 12.8% 10.5%
共同生活援助(日中支援型) 14.7% 14.4% 12.8% 10.5%
児童発達支援  13.1% 12.8% 11.8% 9.6%
放課後等デイサービス 13.4% 13.1% 12.1% 9.8%
保育所等訪問支援 12.9% 11.8% 9.6%